いちごの本来の旬は春、そのためハウス内の苗に春と勘違いさせなくては、実が思うようになりません。ハウスですから、真冬でも昼間はかなり高い温度をキープ、夜間も加温することにより、1日の平均気温を12度から14度に保てます。
しかし、温度だけでは立派な実を連続して収穫することは難しく、前段の温度に加えて日照時間を補うため夜間に電照を行い、光合成を促進さすため二酸化炭素をハウス内に送り込みます。
冬にいちごを作るには「温度」「電照」「二酸化炭素」の3つが特に不可欠。このことについては、何度かご説明して参りましたが、今回はその効果的な使い方について、お話を伺いましたので、忘れないために以下に記します。
ただ漠然と「温度」「電照」「二酸化炭素」の要素を取り入れればOKというものではなく、理にかなった取り入れを行わなければ、苗が衰退(勢いが無くなる)する。3つの要素の内、例えば夜間の温度設定を支障の無い程度まで控えめ(燃料費の問題)にすれば、二酸化炭素濃度設定は少し高くし、電照も長くしてカバーする。
タイミングとしては、二酸化炭素濃度を、明るくなり始める(今では6時30分ごろ)時に、高濃度を保つと一番効果的で、加温も同様である。その際に強制的に灌水も行うと良い。例えれば、人間がふとんから出る時に寒いから一枚服を着て、そして水分補給をし、朝食をとる。よく言われているように、朝食(いちごでは二酸化炭素)が3食の中で一番重要ということと同じである。
また、11月中旬から開始する電照も、その時の苗の状態としては、花は咲いているが実をどんどん熟れさせていくような段階ではなく、温度もまだキープしやすい時期。その時期に5分間の電照を行い、苗が衰退しないで生長していても、12月の冬至頃にはどんどん実を熟れさせて行く段階で、電照開始時の11月に比べれば、かなり日照時間も短くなっており、温度も低くなっている時期に、他の2要素の設定を引き上げるか、電照時間を長くしなければダメージが出る。
但し、その段階では苗も見た目は立派で、実もどんどん熟れているから、問題無いように考えがちで設定変更しなければ、2回目の実を育てる葉(12月の中旬ではちょうど新葉ぐらい)は、確実に衰退していくことになる。12月の中旬以降は、最低でも電照時間を長くし、出来れば朝一番の二酸化炭素濃度も高めれば、ダメージが少なくてすむ。
まさしく当いちご園は12月中旬以降のケアー不足で、苗が衰退している状態。少し実の数も少なく摘果し、3回目(3月)へのダメージを最低限に食い止めている所です。
written by(j-f)